バリ島では、インフラの成長と環境保護のバランスを維持し、自然と文化の持続可能性を確保するために、政府は建物開発に関する規制を非常に重要視しています。
日本と同様、インドネシアにも建蔽率 (BCR) と容積率 (FAR) の規制があり、これは都市の物理的空間を規制する事のみならず、バリ島の住民の生活の質を向上させたり、バリ島の生態系を保護することを目的としています。
1. 建蔽率 (BCR) について
建蔽率 (BCR) とは、建物の総建築面積と敷地で利用可能な土地の総面積の比率を指します。BCR は通常、パーセンテージで表され、建物で覆うことができる土地の面積を規制し、残りをオープン スペースまたは緑地として残すために使用されます。
BCR の適用例:
特定のゾーンで BCR が 40% に設定されている場合、建物は土地面積の 40% しか占めることができません。すなわち残りの 60% は、庭園、吸水、その他の緑地のためのオープンスペースとして大気汚染の削減、景観の保全、居住者の生活の質の向上のた為などに確保する必要があります。
2. 容積率 (FAR) について
容積率 (FAR) とは、建物の総床面積と総土地面積の比率を指します。FAR は、建物を垂直方向にどれだけ開発できるかを規制します。簡単に言えば、FAR は、特定の土地に何階建てにできるかを決定し、エリア内の建物密度を管理することを目的としています。
FAR の適用例:
あるエリアの FAR が 1.5 に設定され、利用可能な土地面積が 1000 m² の場合、許容される床面積の合計は 1500 m² (1000 m² x 1.5) になります。つまり、建物は設計に応じて 1 階以上になる場合であっても、FAR の制限を超えることはできません。
3. バリ島の BCR および FAR 規制
バリ州政府は、公共事業および空間計画局 (PUPR) を通じて、バリ島のゾーニングと土地利用の種類に基づいて BCR および FAR に関する規制を設定しました。バリ島では、人口密度、土地利用、観光の可能性に応じて、BCR および FAR に関する規則が地域ごとに異なります。
• 都市部 (デンパサール、クタなど):
都市部では、限られたスペースで土地利用を最大化するためBCR が高くなる傾向にあり、通常は 40% から 60% の範囲になります。ただし、過密状態を防ぎ、インフラストラクチャの持続可能性を確保するために、FAR 制限は依然として適用されます。
• 観光地域と保護区:
ウブド、チャングー、バリ バラット国立公園など観光価値の高い地域や自然保護地域では、BCR と FAR はより厳しい傾向があります。これらの規制は、緑地の保全と建築開発の規制に重点を置き、景観と地域の生態系を保護します。
4. BCR と FAR の目的
バリ島における BCR と FAR 規制の目的は次のとおりです。
• 環境品質の向上: 緑地の保全により、建設による環境への悪影響を軽減。
• 建築密度の抑制: インフラに負担をかけ、生活の質を低下させる可能性のある過密状態を防止。
• 文化と環境の保全: より環境へ考慮した土地利用により、バリ島の自然の美しさと文化遺産を保護。
• 効率的な資源管理: 雨水、エネルギー、緑地などの自然資源の利用を強化。
5. 実施と課題
BCR と FAR に関する規制は施行されていますが、その実施には課題が伴うこともあります。人気の観光地や需要の高い地域での無秩序な開発は、BCR および FAR 制限の違反につながる可能性が高く、政府はすべての建設プロジェクトがこの規制に準拠していることを保証するため、より厳格な監視に力を注いでいます。
おわりに
バリ島の BCR および FAR に関する規制は、バランスのとれた持続可能な開発を確保する上で重要な役割を果たしています。これらの規制は経済的利益をサポートするだけでなく、バリ島独自の自然と文化遺産の保護にも役立ちます。開発者、政府、および国民は、開発がこれらの規制に沿っていること、そして近代化と自然の調和を促進することを保証するため、これらの規制を遵守することが求められています。
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